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私の語学スタイル

第 4 回
「対話すること、交流することが人間らしさ」

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Style1
まあひとつチャレンジと思って引き受けてみた

 阿部信幾住職は群馬県にある浄土真宗本願寺派西福寺の住職。最近では明治学院大学のキャンドルナイトのイベントに参加するなど、多彩な活動で全国を飛び回っている。また 8 年前から、年に一回、築地本願寺で英語の法話を行っている。きっかけは、たまたま英語で話しているのを見た友人の住職からの紹介だったそうだ。
 「私の英語っていうのは旅行で学んだ実践英語から始まっているから、宗教的な専門用語、ほとんど知らないんです。だから専門用語使わないでブッダの教えを表現しなくちゃいけない」
 日本語で法話する場合でも、専門用語は必ずかみ砕いて話すように心がけているという住職は、英語でも特にそのことを意識しているという。
 「英語で話すことで、ひとつのことを言うのに、どういう言葉で、どうやって表現できるかっていうことをかなり考えさせられます。学ぶことは多いですね。普段の仕事でも英語で話してみると、また違った面が見えるんですよ。英語の学習に関しては、英会話の個人レッスンを受けて、言いたいことが言えるように練習しています」

Style2
『英語なら、分かるんじゃないかと思って』

 英語での説法が行われているのは、東京の築地本願寺(築地別院)だ。しかし、住職が残念に思っているのは外国の方のお参りはまだ少ないことだという。
 「いつもやるとね、日本人が多いんですよ。それでなぜか日本人の大学生がカップルで来てたりする。この英語の法話はもともと日系人の方のために開かれたっていうのもあるので、『日系人の方なんですか』って訊くと、『いや、私日本人です』って。『なんで英語の説法聞きに来たの?』って聞いたらこう言ったの。今でも覚えてますけど『英語って仏教の専門用語はないから、英語の説明ならわかるんじゃないかって思って』って言われたんですよ。ということは日本のお説教がいかに難しいかっていうことだよね。私はそれ、昔から気をつけてきましたけど、まあ日本のお坊さんはやっぱり反省しなきゃいけないな、と。わけのわかんない話したって、人は来ませんからね」
 これからは、日本人以外にも、外国人の観光客や、東京に住んでいる外国人の方にも来てもらいたいと語る住職。英語法話ではキリスト教などの他の宗教と、仏教との違いを特にポイントにして話すことで、外国の方や、全く知識がない日本人でも理解できるよう心がけているそうだ。

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