ゾウ使い学校には、世界中から観光客が来るので、英語は必須。もともと英語や海外旅行が好きだった園山さんは、観光客に対応できる英語力はあった。でも、タイ語に関してはどうだったのだろう。
「さすがに、もう7回も行っていたのでタイ語、単語ぐらいは分かるなって思っていて、行ったんです。でも、学校を立ち上げるんだから、どんどんこう話し合いの場が設けられるわけですよ。こういうふうにしていこうとか。この土地には象舎をつくってとか、ゾウ使いさんたちのお部屋はここでとか。初めは『は?何言ってるの?』みたいな感じで、すごい足ひっぱってたと思うんですよ。でも日本人もいないし、結局自分の考えを伝えたり、相手の考えを理解するためには自分が話せるようになるしかないんだなあって思って、それからですね、もうやらなきゃいけないんだって気持ちが切り替わりました」
タイ人の村長さんが中心になる会議はタイ語で行われるものの、ゾウ使いの人や村の人が使うのはカレン語。園山さんは、ゾウ使いの方たちとの生活を通してカレン語も必要だと考え、タイ語とともにカレン語の勉強も始めた。
「カレン族の人のタイ語はちょっとアクセントが違ったりして、なかなか理解できないのもあって、私もカレン語を勉強しなきゃいけないんだなと思いました。ゾウさんのお世話をしてるときに、これなんていうの、とか聞いて、吸収するようにしてます。テキストもなくて、書くということができないので、大変です。カレン語の文字はあるんですけど、もう今の世代の人たちはほとんど書けない。中高年の方で、書ける人がいるという程度なので、もう確実に消えていくと思います」
「タイ語やカレン語が、ここまでできるようになったのはひとりだからです。もうほんとに頼れる人が誰もいないんですよ。日本人もいないし、英語も通じないし、やるしかない」
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