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私の語学スタイル

第 6 回
インドで見つけた、幸せのかたち

006

Style1
日本食レストラン「メグカフェ」

 ガンジス河の流れる、インド・ヒンドゥー教の聖地バラナシで、日本食レストラン「メグカフェ」を営む久田恵美さん。調理補助とウェイターをつとめるのは、インド人の夫、サンジェイさんだ。調理師免許を持つ久田さんが振る舞うのは、日本家庭のやさしい味。なにかと刺激的なインドで、旅行者の癒しとなっている。
 「お客さんが増えていくと、流れ作業みたいになってしまう。それが嫌で、自分の楽しみのためにも、できるだけお話はするようにしています。お客さんから韓国語を習ったりもするので、使ってみる。お金のためだけにやっているのではない、というのがありますので」
 そう話す久田さんの姿からは、メグカフェと、お客さんをほんとうに大切に思う気持ちが伝わってくる。その温かい人柄と絶品の料理で、メグカフェは、観光シーズンは寝る間もない、というほどの繁盛ぶりなのだ。

Style2
ビビビッ! サンジェイさんとの出会い

 そもそも、久田さんはどうしてインドにいるのだろう?
 遠い異国の地で食堂を、という設定は、フィンランドを舞台にした映画『かもめ食堂』さながら。しかし、メグカフェの背景にあるのは、おしゃれな北欧雑貨ではなく、わがもの顔で街中を歩く牛と、その落とし物だ。まさに、別世界である。人生、なにがどうなったら、インドでレストランを開くことになるのだろう。
 はじまりは、インド人の夫、サンジェイさんとの出会いだった。なんと、初対面にして、サンジェイさんに運命を感じたのだという。
 「インド人と結婚することになるなんて、考えてもみなかった」と話す久田さんは、旅が大好きなバックパッカーだった。そのうち、なぜかインドにひきつけられ、インドだけに通うようになった。
 バラナシで、インドの伝統楽器シタールを学びはじめた久田さんは、1年のうち、半年はインドに滞在し、残りの半年は日本で調理の仕事をする、というような生活を送っていた。そんななか訪れたのが、サンジェイさんが経営していた音楽店だった。
 出会ったときのことをたずねてみると、「なにかビビビッとくるものを感じたとしか説明しようがない」のだという。
 その後、久田さんの猛アタックがはじまる。出会って2か月で結婚を決意し、その1年後に挙式という、まさに電撃結婚。迷いはなかったのだろうか。
 「やっぱり恋は盲目なので、ポンと決められました(笑)。バラナシでは、つき合うイコール結婚ってなる、っていうのを聞いて、それなら結婚しかないな、と思って」
 なにごとも、目標が定まれば猪突猛進という久田さん。ご両親や友人からの反対も「自分が選んだ人なのだから」とはねのけ、インドでサンジェイさんと生きていくことを決意したのだった。

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関連紹介

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    ■メグカフェ 

    (MEGU CAFE)

     


    住所:

    D8/1, Kalika Gali, Varanasi UP India

     

    電話:

    +91−9236519262


    アクセス:

    ヴィシュワナート・ガーリーを入って徒歩 5 分。看板のあるところを右にまがり、道なりに行って右手側


    営業時間:

    10時〜22時
    日曜日定休

 

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