過去の連載

私の語学スタイル

第 2 回
「ネイティブではない先生ができること」

002

Style5
みんな認められたい

 ネーナ先生は今、2 歳児と 5 歳児のクラス、1 年生と 2 年生のクラスを直接教えていて、あとは学生たちと一緒に、幼稚園、保育園、小学校に実習に行くというまさに児童英語教育漬けの毎日を送っている。子どもに教えることの楽しさについて聞いてみた。
 「子どもって先生の影響がすごくあって、目の前で育っていく。だからそれがすごくいいなと思って、とてもやりがいを持って続けています。子どもの育て方に関しては、私はどんどん熱くなってるの!教育の第一の目的は、ひとりひとりの子どものいいところを見つけて、存在感を与えるということだと思う。英語でもなんでも、勉強の前にひとりひとりの人間性を認めないとだめ。今の時代はみんな認められたくてしょうがないけど、それこそスキルでしか認められない、社会に出るとその子どものスキル以外で持っていることは、全然意味がないというような。英語だったら、知識や発音でしか、先生から認められないというような状況があります。でも、先生に扱いにくいって言われているような子どもでも、たとえば歌を歌いながら、心をこめて振り付けをしたりとか、素晴らしいポエムみたいな文章を書いたりとか、ものすごい自己表現をすることがあるんです。そういうことがあると、私、心からほめるの。その表現すごいよ!素晴らしいよ!って。多様な表現を認めることが目的なんです」

Style6
自分をどこまで出せるか、考えないとだめ

 これからの日本人がどんな英語を身につけたらよいのか、ネーナ先生は自己表現こそが重要と言う。
 「英語をはじめとしたヨーロッパの言語ってもともとは起源が一緒で、ディベートしたり、議論を戦わせたりして、とにかく自己表現するためのツールなんです。効果的に自己表現しないと、誰も聞いてくれないから。もちろん、ヨーロッパのまねだけしてもだめなんだけど、グローバルコミュニケーションという目的で日本で英語をもっと広めるのだったら、自己表現、自分をどこまで出せるか、を考えないとだめですよ。日本人を捨てるんじゃなくて、日本のことだけしか知らなかった日本人を捨てるっていう意識が必要。私もセルビア人を捨ててないけど、日本で生きてきて、セルビアだけしか知らなかったセルビア人はではもうなくなってる」
 英語教育に関して言えば、コミュニケーションを重視した教育が大事ということは、もう久しく言われていて、その成果があがらなくて、反動さえも起きているような状態だ。本当はコミュニケーション力をつけるために何をしたらいいのか、分からない人も多いのでは。ネーナ先生によれば、コミュニケーションとは、ただ人と話せばいいというわけではなくて自分を表現することと、人の気持ちを読むことの二つができなくてはいけないと言う。
 「日本人は受身になって、表現しないということはよく言われているますよね。以心伝心という時代があったかもしれないけれど、それはグローバルなレベルでは通用しない。だって異文化だから予測不可能なんです。だから表現しないとだめですよ。表現ってもちろん人によっては、言葉だけじゃなくて、着る服や、しぐさとかの非言語コミュニケーションの部分もあります。それから、アートとか踊り、音楽、いろいろあるんです。自分にあった表現が必ずあるはず。それを英語と関連してできたら、素晴らしいコミュニケーション力になりますよね」

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