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アイルランド語質問箱

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質問

tá a fhios agam...(私は…を知っている)は、関係節(私が知っている…)になる場合、直接関係節または間接関係節のどちらになるのでしょうか?

「私は…を知っている」では tá a fhios agam... のように、構文上 a fhios が主語となっています。存在動詞 tá の現在形は、直接関係節では atá となり、間接関係節では a bhuil となるようですが、そこで疑問です。たとえば「私が知っている…」のように tá a fhios agam... が関係節となる構文の場合、tá は atá となるのか、あるいは、a fhios が構文上の主語であるから間接関係節となり a bhuil となるのか、いずれでしょうか?


回答

間接関係節 a bhfuil となります。その理由は a fhios 「その知識」の所有形容詞 a が先行詞を指すからです。つまり先行詞は元の文の主語でも目的語でもなく、fios に対して「その知識」という属格関係にあるからです。また、a fhios の代わりに、<fios+名詞の属格形>で同じことが言えます。

 

たとえば、「私はその話を知っている」という文は次のどちらでも言えます。

 

Tá a fhios agam an scéal.

Tá fios an scéil agam. 「(直訳)私にはその話の知識がある」

 

ここで an scéal を先行詞とすれば、間接関係節が続きます。

 

an scéal a bhfuil a fhios agam 「私が知っている話」

 

ところで tá a fhios agam の構文に続く「知っていること」は、通常 go や疑問詞で始まる名詞節が続きます。

 

Tá a fhios agam go raibh Seán ann. 「私はショーンがいたことを知っている」

Tá a fhios agam cén t-am a tháinig Seán. 「私はショーンがいつ来たか知っている」

 

a fhios 「その知識」の所有形容詞 a は後に来る名詞 an scéal や名詞節 go raibh Seán annを指します。

 

名詞節ではなく名詞が単体で tá a fhios agam の後に来る場合は、scéal, áit などの名詞と代名詞に限られます。代名詞の場合は次のように続けます。

 

Tá a fhios agam é sin. 「私はそのことを知っている」

 

これは tá a fhios sin agam と言うのと同じです。この é を先行詞として「私の知っている(その)こと」と言う場合も間接関係節を用います。

 

Sin é a bhfuil a fhios agam. 「それが私の知っていることです」

 

また、a bhfuil a fhios agam はこのままの形で先行詞を含む用法、つまり「私の知っていること」(英語で言う what I know)にもなります(35.4参照)。

 

人物などを知っていると言う場合は、tá a fhios agam Seán とはしないで、fios の代わりに aithne「面識」と前置詞 ar を用います。

 

Tá aithne agam ar Sheán.「私はショーンを知っている」

Seán a bhfuil aithe agam air「私の知っているショーン」

 

ちなみに tá a fhios agam Seán とすると意味が変わって「ショーンがどういう人間であるか知っている」になります。固有名詞「ショーン」が「どういう人間か」という疑問名詞節 cén sórt fear é Seánと同じように解釈されます。


質問

属格におかれた固有名詞の語頭子音の軟音化について教えてください。

『アイルランド語文法 コシュ・アーリゲ方言』 23ページに、「人名、地名など、固有名詞が属格として修飾する名詞の直後に来るとき、語頭の子音が軟音化する。軟音化は綴りに h を加えることによって示される。」とありますが、最近入手したCDのタイトルに、Music of Sligo / Ceol Sligigh とありました。 Ceol Shligigh と軟音化しなくてもいいのでしょうか? この場合は例外なのか、タイトルの間違いなのか、それとも、どちらも可能なのでしょうか?

また、Sligigh と Shligigh の発音も教えて頂けると、ありがたいです。


回答

Ceol SligighはCeol Shligighとすべきです。発音はカタカナでは不正確ですがキョール・ヒュリッギのようになるでしょう。ちなみにSligeachはシュリガッハ、属格のSligighはシュリッギが近いカタカナ表記と思います。

「人名、地名など、固有名詞が属格として修飾する名詞の直後に来るとき、語頭の子音が軟音化する」という規則はコシュ・アーリゲ方言特有の現象ではありません。標準アイルランド語綴りでも軟音化すると明記されています。

軟音化については規則が複雑で方言差もあるため、アイルランド人でも学習して習得された人には綴りが混乱していることが多く見かけられます。この場合は間違いと考えてよいと思います。



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