どの辞書にも載っていないような言葉を見つけるのは意外に簡単だ。数年前、『研究社 新和英大辞典』のために新しい見出し語を探しはじめたら、そういう言葉が巷に溢れていることにびっくりしたのだ。新聞は使用語彙が制限されているらしく、辞書に未収録の語彙が多くないが、対象読者が限定されている出版物には辞書編集者が採集していない言葉が山ほどある。
例えば、『LEON』という男性向けファッション雑誌。その5月号の目次には、次の記事タイトルがある。
オンでもオフでもサラリ"楽ジャケ"
足元に派手色のドラシューかデッキシュー
クールなこなしに差し柄ギンガム
エレガントにドレス顔したスニーカー
さり気クラス感にスウィングトップを
KODで『新和英大辞典』と『大辞林』の最新版を確認したら、そこに未収録の語とそのグーグルでのヒット数は下記のとおりだった。
「楽ジャケ」 41 (未収録の「楽ジャケット」は318)
「派手色」 20,600
「デッキシュー」 1,640 (「デッキシューズ」は収録済み)
「差し柄」 2,260 (「差し色」は収録済み)
「ドレス顔」 (「…印象的なニットドレス。顔まわりを…」のような用例もヒットするので、有効ヒット数は不明)
「クラス感」 94,200
「スイングトップ」 55,500 (ただし、「Harrington (coat [jacket])」の和訳としてKODの英和には載っている)
そして、「オン」と「オフ」はもちろん辞書に載っているが、上のタイトルでの意味(「仕事中」と「余暇中」?)はない。