Web英語青年

Web英語青年ブログ

  • 最新配信
  • RSS

美しい influenza

美しい influenza

カテゴリ : 
くもの舌 (言葉について気が付いたこと、考えたこと)
執筆 : 
Tom Gally  投稿日 2009-5-19 20:40
新型の豚インフルエンザが話題の中、先日、同僚から「なぜ influenza は influ ではなく flu と略すんですか」と訊かれた。即座に「知らない」と答えた。

その後考えたら、flu というの語の不思議に気がついた。gymnasium から gym,  telephone から phone ができたように、語頭か語尾を残して短縮語を作る例が多いが、中間部だけが残る例は少ない。すぐ思い付いたのは fridge (refrigerator から)ぐらい。少し調べたら、その他に detective からできた tec や pajamas に由来する jams や jammies もあると分かったが、fri(d)ge と tec と jam はいずれも言葉の強勢のある音節である。一方、influenza では en が第一アクセント、in が第二アクセントなので、無強勢の flu だけが残っている。 influenza と同じアクセント・パターンを持つ satisfaction や Casablanca が tis や Sa に短縮されることは考えられないが、なぜか influenza が flu になったのだ。

cadenza, extravaganza, Vicenza など、イタリアの言葉は英語話者の耳に美しく聞こえることが多い。その意味を無視したら influenza という語も美しい。詳細は忘れたが、昔見たコメディーに登場した女性が Influenza と名付けられた。それを聞いて笑ったが、エキゾチックな美人だったので納得できるネーミングでもあった。一方、flu は言葉も実物もまったく美しくない。これ以上に蔓延しないように祈りましょう。

▲ページトップに戻る