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熱がなかなか下がらない

熱がなかなか下がらない

カテゴリ : 
くも本 (面白い絶版書の紹介)
執筆 : 
Tom Gally  投稿日 2009-11-30 21:50
今年4月にこのブログを始めたとき、くも本の紹介が大きなウェートを持つことになろうとは思わなかった。しかしその後、オンラインで無料で読める本の数と多様性に圧倒されてきた。今は毎日、時には一日に数回、Internet Archive 上の American Libraries コレクションに追加された本のリストをチェックする。そして毎日、時には一日に数回、面白い本が見つかる。今回は、特にテーマを設定しないで、見つけた本をいくつか紹介する。

私は子供の時に World Almanac and Book of Facts という年鑑を愛読していた。内容はスポーツの記録から歴代米大統領のプロフィールまで多岐に渡っている。(日本の『現代用語の基礎知識』などは内容が違うが同じような面白さがある。)大人になってからもほぼ毎年 World Almanac を購入していたが、2005年版以降は買っていない。

World Almanac を思い出したのは、今いる東京・御徒町の喫茶店で仕事をしながらやはり Internet Archive に新着本のリストをチェックしたら、The American Almanac and Repository of Useful Knowledge for the Year 1848 という年鑑が載っていたからだ。この1848年版のGoogle によるスキャンはお粗末だったが、1836年版は綺麗に読める。日蝕と月蝕の予測からフランスの貧困統計まで、様々な情報が載っている。当時代のアメリカ文学や歴史を研究する人、または単なる雑学が好きな人にとっては、読み応えのある本だ。(Internet Library の新着リストでGoogleの杜撰スキャンを無表示にするためにこのリンクを使ってください。)

次の本を見つけたのがいつだったか覚えていないが、この間、京都へ出張に行ったときに新幹線内でも無事にネットにアクセスできたので、もしかしてその時だったかも知れない。タイトルは Murray and Co.'s Book of Information for Railway Travellers and Railway Officials Illustrated with Anecdotes, etc (1865年)。これは鉄道の雑学本で、Illegality of commencing a journey by Railway without previously obtaining a ticket (切符未購入での乗車の違法性)から Railway Phrases (鉄道の語彙集)までがある。 Illegality of commencing ... のところでは、次のように書いている。
Any passenger not producing or deliverying up his ticket as aforesaid, will be required to pay the fare from the most distant place whence any part of the train originally started....
すなわち、乗車券を呈示しない人からは、全区間の料金を請求できる、とある。現在の日本でも、同じ規則を持つ鉄道会社があるかと思うが、不正乗車したことがまだないので、詳しいことはわからない。

まったく別種の本だが、1908年の Early Woodcut Initials は印象深い。次は「哲学者のアルファベット」。

最後に、 Workers of the Nation第1巻第2巻(1903年)を紹介する。これは、20世紀初期の様々な職業を説明する、社会史の研究にも貴重な本だ。次の写真は、Buildings, Bridges, and Building Trades の章に出ている。
こうした本を喫茶店でも電車内でも自由に見つけて読めることを考えると、私のくも本熱はこれからも冷めることがないと思う。



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