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私の語学スタイル

第 7 回
友達作りは簡単じゃない

007

Style2
まずは1人見つけることから

 「その場にいる人全員に合わせるのではなく、いい人がいたら仲良くなりたいという気持ちで参加する」、これが前田さんなりのコツだという。
 「参加者の中で誰か1人くらい気の合う人が見つかればOK、という考えで行けばいいんじゃないでしょうか。まず1人見つかれば次に参加する時も心強いし、今度はその人の友達に紹介してもらえるかもしれない。そうやって可能性がどんどん広がっていきますよね」
 まずは1人見つけることから始めてみよう。そう考えれば少しは気が楽になるのでは? そもそも相手が外国人だということ以前に、友達を作るのはすごく大変なこと。日本人同士でも合う人合わない人はいるのだから、考えてみれば当然だ。気の合う相手と本当の友達になって、言葉を学ぶためではなくその人に会いたいから会う。そういった関係が理想だと前田さんは話す。
 友達作りにはいろんな方法があるし、正解も存在しない。前田さん自身もどうすればいいかわからず思い悩んだ経験はあった。「以前、大学のスペイン語の先生に聞いたことがあったんです。『どうすればスペイン人の友達ができますか?』って。先生の答えは、『どこでスペイン人に出会えるかということを考えるところからスペイン語の勉強だから、教えられません』。この一言が心にグサッと響きました。結局、自分で考えることが必要なんですよね。安易にアドバイスを求めようとした自分の甘さに気づかされました」
 すべての人がうまくいく方法なんてない。でもいろいろな方法を試してみる中で、自分に合ったやり方はきっと見つかる。自分なりに考えて、動いてみることが何より重要なのだ。失敗や苦労談も含めて語ってくれた前田さんの言葉には、実感がこもっている。

 
Style1
仕事へのこだわり

 卒業後に選んだのは翻訳コーディネーターという仕事。ただ、就職活動中の当時を振り返って、「スペイン語や英語を生かして働きたいというモチベーションは大きかったものの、実際に仕事を選ぶのはとても難しく、正直、選べなかった」と打ち明ける。どちらかと言うと「物事を鳥瞰するのが好き」という性格のせいか、“業界”や“職種”で区切られた中から選択することが難しかったのだとか。「そんな時翻訳コーディネーターの仕事を知って、これだ!と思いました」
 翻訳コーディネーターの仕事は、いわば、クライアントと翻訳者の間の橋渡しだ。クライアントからの受注、翻訳者への依頼、スケジュール管理、翻訳のチェック、DTP、校正、最終的な納品まで、すべての工程にひととおり関わる。翻訳の全体の流れを見渡せるのが、コーディネーター職の魅力のひとつだ。また、ひとくちに翻訳と言っても内容は幅広い。家電製品のマニュアル、ニュース記事、金融関係の契約書など、多岐にわたっている。「翻訳を通して様々な業界を見渡すことができるのが面白いし、いろんな世界とつながっていられるのがうれしい」と前田さんは話す。
 スペイン留学中に翻訳アルバイトをした経験も、大きなきっかけとなった。「アルバイト先は、スタッフ4人ぐらいのアットホームな会社でした。翻訳がまったく未経験の私に、スタッフの方がとても丁寧に指導してくれたのを覚えています。その経験から、こんなふうに翻訳者をサポートする仕事があるんだったら私もやってみたい、と思ったのが最初ですね。今私が仕事をしている最中も、当時のアルバイト先のスタッフの姿を思い出すことがあります。私もあんなふうに翻訳者との信頼関係をちゃんと築いて、安心して仕事をしてもらいたい、と思うんです」
 現在は、「金融室」という金融関係の翻訳を専門に扱う部署に所属する。それにはこんなエピソードが。「去年の春、会社で金融翻訳の部署を新たに立ち上げるという話が上がり、すぐに立候補しました。私はまだ入社2年目で、社会人としての経験も少ないし、金融の知識もない。だから立候補には勇気がいりました。でも後で後悔するより、失敗しても成功してもトライすることに意味があると思って、異動の希望を出しました」
 もともと、金融には興味を持っていた。「お金も言語も生活に必要不可欠で、バラエティーがあって、国境を超える」、そういった点に共通性を見いだしていたのだ。実際に新部署へ異動となったのは去年の12月。まだまだ思うようにいかないことが多いそうだが、試行錯誤しながら自分でその道を切り開いていくことに、やりがいを感じている。

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