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くもの舌 (言葉について気が付いたこと、考えたこと)カテゴリのエントリ

上から読む(その続き)

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くもの舌 (言葉について気が付いたこと、考えたこと)
執筆 : 
Tom Gally  投稿日 2009-7-1 16:30
先日、次の詩を書いた。行頭の文字に注目してください。
Knives that slice a spider's thread
Or hack a corner from a cloud
Take away the air instead
Or no more than an insect shroud.

Better to use tongues to bash
Against the walls of strand and haze;
None evades the mighty slash
Of deftly wielded turns of phrase.

Knowledge hides until it's caught,
Until our language makes it show.
Mighty blades are void of thought;
Our words must tell us what we know.

素朴な疑問

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くもの舌 (言葉について気が付いたこと、考えたこと)
執筆 : 
Tom Gally  投稿日 2009-6-24 20:30
私は来日してから26年になるが、長年、自宅勤務のフリー翻訳者だったため、日本の大学や学界とはほとんど接点がなかった。その後、大学にフルタイムで勤務するようになり、今年の10月で4年になるが、その間、日本の大学や学者たちのことを少しはわかるようになったと思う。それでも、まだ理解できないことがある。その一つは、大学レベルの英語教育に携わる一部の学者が、自分とは異なる教育論の持ち主に対して示す強い憎悪である。

これから三つの実例を述べるが、当事者は仲のいい知り合いなので詳細をぼかす。

例1。A氏は有力な甲英語教育学会の会員としてよく発言する学者。乙英語教育学会はまた別の有力な学会である。私との会話で、A氏は真面目な顔で乙学会を「私の敵」と呼んだ。

例2。B氏という、乙学会の会員と話したとき、たまたま私がA氏の名前を口にした。すると、B氏は顔を赤くし、唇を震わせながら、A氏の英語教育論を罵った。

例3。C氏は「アレのための英語教育」という考え方の強い支持者。「アレ」は、確かに多くの英語学習者に必要な能力。その数が「アレ」ほど多くないが、「コレ」を必要とする学習者もまちがいなく日本の大学に存在する。それでも、C氏はある出版物で「コレのための英語教育は日本の大学では全く不要だ」と書いた。

私の質問はこうだ。英語教育を専門とする学者の中に、なぜこれほどまでに強烈な感情を互いに抱き合う人々がいるのか。

読者の皆さんから答え、ご意見を待っています。
アドレス kotobanokumo■■kenkyusha.co.jp までお願いします。
※「■■」を「@」に換えてください。

美しい influenza

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くもの舌 (言葉について気が付いたこと、考えたこと)
執筆 : 
Tom Gally  投稿日 2009-5-19 20:40
新型の豚インフルエンザが話題の中、先日、同僚から「なぜ influenza は influ ではなく flu と略すんですか」と訊かれた。即座に「知らない」と答えた。

その後考えたら、flu というの語の不思議に気がついた。gymnasium から gym,  telephone から phone ができたように、語頭か語尾を残して短縮語を作る例が多いが、中間部だけが残る例は少ない。すぐ思い付いたのは fridge (refrigerator から)ぐらい。少し調べたら、その他に detective からできた tec や pajamas に由来する jams や jammies もあると分かったが、fri(d)ge と tec と jam はいずれも言葉の強勢のある音節である。一方、influenza では en が第一アクセント、in が第二アクセントなので、無強勢の flu だけが残っている。 influenza と同じアクセント・パターンを持つ satisfaction や Casablanca が tis や Sa に短縮されることは考えられないが、なぜか influenza が flu になったのだ。

cadenza, extravaganza, Vicenza など、イタリアの言葉は英語話者の耳に美しく聞こえることが多い。その意味を無視したら influenza という語も美しい。詳細は忘れたが、昔見たコメディーに登場した女性が Influenza と名付けられた。それを聞いて笑ったが、エキゾチックな美人だったので納得できるネーミングでもあった。一方、flu は言葉も実物もまったく美しくない。これ以上に蔓延しないように祈りましょう。

言葉のギャップ

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くもの舌 (言葉について気が付いたこと、考えたこと)
執筆 : 
Tom Gally  投稿日 2009-5-18 19:10
先日、『東大英単』のオーディオブック版の収録に立ち会った。代々木公園近くのスタジオで行なった。見出し語、その定義、そして英語の用例は英語ネイティブのナレーターに読み上げられ、例文の日本語訳は日本人のナレーターに読み上げられた。二人とも一流のプロだったので録音はスムーズに進んだが、分量が多かったので、午後3時から始まった録音は夜遅くまで続いた。

昔、フリー翻訳者として生活していたときにビデオ台本などの収録によく立ち会っていたので、そのような作業に慣れているが、今回改めて痛感したのは、書き言葉と話し言葉の間のギャップ。『東大英単』の見出し語は比較的平易なので問題なかったが、例文には固有名詞やアカデミックな用語がかなり出ているので、その発音を知っていると思っても実際に知らない言葉が意外に多かった。辞書やウェブで発音を確認する必要があった言葉には Srinivasa Ramanujan、myocardial infarction、Voltaire、Homo floresiensis、Acre(都市名)、Mendeleyev、 subsidence、Gamal Nasser、Khrushchev、Otto Neurathなどがあった。微妙なアクセントの違いにも時間が取られた。例えば、The history of mathematics is full of new developments, but Cantor's set theory transcends them all. という例文では、ナレーターさんが最初、
Cantor's set theory (下線部の方を強く発音)
と読んだが、ここでは set theory は「固定されている理論」ではなく「集合論」なので
Cantor's set theory
に直してもらった。

日本語の読みを確認する言葉も少なくなかった。「文書」は「ぶんしょ」か「もんじょ」か? 「生得」は「せいとく」か「しょうとく」か? 国語辞書やアクセント辞典がよく引かれた。

文字で書かれている言葉を正確に読み上げるのは簡単ではない。

awesome みたいな

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くもの舌 (言葉について気が付いたこと、考えたこと)
執筆 : 
Tom Gally  投稿日 2009-5-13 12:30
先日の投稿について、読者からご感想をいただいた。
ことばのくも の「偶然の一致?みたいな」、面白かったです。断定を避ける表現は日本語ではよく流行りますが、米国でも流行ったりするのですね。
そうです。特に、若者のスラングでは、漠然と「良い」または「悪い」を意味するはやり言葉が多い。以下に思い付いた表現だけを挙げてみたが、他にも多数ある。
「良い」
awesome
bitchin'
cool
copacetic
far-out
rad

「悪い」
bogus
bunk
cronk
gnarly
grody
whack
上には死語(または瀕死語)が含まれるので、ご使用の際にはご注意を。

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