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『英文解釈教室・改訂版』ノート



Chapter 2 目的補語 B 目的補語の識別

 

2.3.1

 

 

* ポイント *

M が前へ掛かるか、後へ掛かるか注意

 

語釈:

boast: 自慢する

 

検討:

@ boast:

前の boast about は、自動詞+前置詞=他動詞化で目的語は anything。後の boast は、他動詞+that(目的語となる名詞節を導く接続詞) 〜 の形。

A hear:

S V O doing の形で「O が do するのが聞こえる」経験
cf. hear that 「…だそうだ」伝聞

 

訳例:

私はある男が、何も自慢するものがないので、自分のネコはチーズを食べると自慢話をするのを聞いたことがある。

 

さらに一歩: なし

 

2.3.2

 

 

* ポイント *

today が「今では」か「今でも」かは論理による

 

語釈:

broadcast: (u) 放送 (c) 放送番組
satisfactory: 満足のゆく、充分な
sportsman: (1) スポーツ愛好家 (2) 運動選手(=athlete)
pretty: (adv.) とても (adj.) かわいい

 

検討:

@ pretty young woman:

pretty は形容詞と副詞があり厄介。

形容詞の場合はカンマでつなぐのが普通
例: pretty, young woman (きれいで若い女性)

カンマを入れないと副詞ととるのが普通
例: pretty young woman (とても若い女性)

だが本文の場合、カンマはないが pretty は形容詞ととったほうがよいだろう。
別の例: He had formed a liaison with a pretty young widow. (彼は若くて美しい未亡人と関係をもっていた)

A a help:

不可算名詞の可算名詞化「役立つもの」

 

訳例: 略

 

さらに一歩:

@ 何故 today を「現在でも」と訳すのか

過去と現在を比較している。対象は、音声と音声+画面。「昔は音だけだった。今は画もついているが特に役に立たない」という意識の流れが「でも」の訳に入っている。「現在でも」とするか「現在では」とするかは、文脈依拠。

A 形容詞の並列の原則

(1) 異種の形容詞は and もカンマもなしで並べる

例: his many good suggestion (代名形容詞+数量形容詞+性質形容詞)

(2) 性質・状態の形容詞は通例カンマでつなぐが、カンマなしでも可

例: two little(,) brilliant(,) purple jewel boxes

(3) 同じ種類の性質・状態の形容詞が重なるときは、カンマでつなぐ

例: the protective, kindly figure

*強調の場合は、and で結ぶ
例: a dangerous and destructive creature

*部分による違いを示す場合は and で結ぶ
例: a black and white dog (白黒ぶちの犬)
  ×a black, white dog (色が混じって灰色になってしまう)

(4) 並べる順序は大体次の通り

 大小・形状・性質・状態・新旧・色彩

 例: a large round heavy old brown table

 

2.3.3

 

 

* ポイント *

rest on the bases と読む

 

語釈:

hundreds: (1) 何百もの (2) 非常に多くの。どちらかは文脈依拠。hundreds of < thousands of < ten thousands of
watch: 動くものを注視する
例: watchman ガードマン
rest on: …に支えられている

 

検討:

○ 関係詞の前後を二文にする:

I had watched the bases.
European freedoms had seemed to rest on the bases.

 

訳例:

多くの人にとって、その当時ヨーロッパで最も重要な出来事は独裁制の勝利であった。私はヨーロッパの自由を支えていたはずの基盤が崩れるのを目にしていた。

 

さらに一歩: なし

 

2.3.4

 

 

* ポイント *

接尾辞 -ful に注意

 

語釈:

impression: よい印象;感動、感銘
enduring*endure: …に耐える
fruitful: やがて実りをもたらす(今実っているのではない)

 

検討:

○ fruitful の例:

a fruitful shower 慈雨
a fruitful vine 豊かな房をつけるブドウの木
a fruitful composer 多作な作家

 

訳例:

旅行をさせすぎたり、刺激を与えすぎたりするのは、子供にはよくない。そうした子供は、大きくなって、やがて実りをもたらす単調な生活に耐えられなくなってしまう。

 

さらに一歩:

○ -ful

(1) 性質 (2) 傾向 (3) 多量 を示す接尾辞。

例:
(1) A dog is a faithful animal. (犬は忠実な動物です)
(2) There is a hopeful sign of his recovery. (彼は回復するきざしが見えてきた)
(3) the harmful effects of smoking. (喫煙の害)

ただし successful には注意「今うまく行っている」の意。

例: Jeffrey Archer, successful author and politician (作家兼政治家として成功したジェフリー・アーチャー)

 

2.3.5

 

 

* ポイント *

find myself をどう訳す

 

語釈:

note: 気づく
a leaf: (c) 葉
cf. (集合的) be in leaf (葉が茂っている)

 

検討: なし

 

訳例: 略

 

さらに一歩:

○ find myself*oneself:

他動詞+oneself で自動詞化。意味が弱くなり「自らを見出した」でなく「気が付いた」。

さらには be 動詞に近くなる
≒I was noting the color of a leaf. (葉の色に注目していた)

 

2.3 例題

 


 

* ポイント *

and constantly repeat はどれと並列するのか

 

語釈:

lack confidence in: …への自信が欠ける
good: 正しい
cf. bad 間違った
once and for all: きっぱり
uncertain: 不安定な
permissible: 許される
settle: …への決着をつける
basis*base: 根拠
repeat: (1) 繰り返す (2) 暗唱する 例: repeat a poem (3) オウム返しに言う

 

検討:

@ come to do:

「…するようになる」do は状態動詞が普通

例: I came to know him aboard the ship. (船の中で彼と知り合った)

A have+目的語+p.p

目的語が長い。each spelling, pronunciation, meaning, and grammatical usage。

1, 2, 3, and 4の並列。and は列挙・並列のしるしで、含意しているものはこの4つだけ。

B , so that … could

could は仮定法。前から「そうすれば…できるのに」、後から「…できるように〜」文が流れていればどちらも可。

 

訳例:

正しい英語の知識に自信が持てない人は、綴りや発音、意味、語法の逐一をきっぱりと決めてもらえば、どれが正しくどれが間違いかを知ることができるのにと思う。明らかにいくつかの選択肢がある場合は不安になるのである。慣用のすべての問題を解決できる一定の基準があってほしいという気持ちもあって、そういう人はこの種の基準が現実に存在して働いているものと思いこむようになり、そうした規則の根拠を調べてもみずにそれらを念仏のように唱えるのである。

 

さらに一歩:

@ 掛かり方

(1) come to [believe …] and [repeat …]
だんだん信じてきて繰り返すようになる

(2) [come to believe ...] and [repeat …]
信ずるようになり、その結果オウム返しに言う

の二つが考えられる。

come to believe は状態動詞、come to repeat は動的動詞だが反復を示すので、come to の後にきてもよさそう。 意味からは「信ずるようになってきて」揚句(, and)「念仏のようにいつも繰り返すのが日常的になる」ととったほうが説得性があると思う。

A judgments and rules:

これは英語で実に多用される同義語反復。二語の意味の差に呻吟する必要はない。「判断と規則」では日本語としておかしいだろう。ともに「規則」のこと。一語で訳しても構わない。

 

 

〈著者紹介〉

柴田 耕太郎(しばた こうたろう)

 早稲田大学第一文学部フランス文学専修卒。
 岩波書店勤務、フランス留学を経、大手劇団文芸部所属など演劇活動。
 翻訳業界で約40年。(株)DHC 取締役、(株)アイディ代表取締役を経、現在翻訳教育家。
 獨協大学外国語学部・東京女子大学非常勤講師。
 『英文翻訳テクニック』(ちくま新書)など著訳書十数冊。
 演劇・映像・出版・産業各分野で実績のある翻訳実践者。
 翻訳ベンチャー(株)アイディを自社ビルを有する中堅企業に育てた翻訳経営者。
 出版翻訳者を40人以上デビューさせた翻訳教育者。
 アイディ『英文教室』主宰。

 


 

 

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