二週間前から続く大災害には喜べることはまったくないが、先日、イギリス人の同僚から新しい造語の話を聞いたときに少しだけ微笑ましくなった。
gaijin という言葉は、だいぶ前から英語に入って、辞書にも載っている。例えば、Merriam-Webster's Collegiate Dictionary には「a foreigner in Japan」と定義されている。(余談だが、日本語では「外人」がアジア人やアフリカ人など、白人以外の外国人を指すかどうかについては日本人の間で意見が分かれているようだ。英語の gaijin についても同じ問題があるかと思う。)
今回の震災直後、多くの外国人が日本を脱出したので、造語されたのが flyjin だ。意味は言うまでもなく「怖くてすぐ飛んで行っちゃった外人」だ。次のような文脈で使われている。
From this we can infer that the total number of flyjins is approximately 140,000. This figure does not include the intra-Japan flyjin who relocated to Kansai and other areas.
私は、ちょうど大地震の数時間前、翌日梅田で講演するために大阪に行っていたので、ニュースで初めて地震と津波を知った。そして、14日の月曜日に、不気味にも空いていた新幹線で大阪から横浜の自宅に戻った。家は無事だったが、あくる日に大学に行ってみたら、12階の研究室で多数の本が棚から床に落ちていた。それを片付けながら、紙の本をやめて電子本だけを読む決心をしはじめたが、これから長引く電力不足を考えると、太陽の光だけでも読める本はやはり捨てるべきではないと考え直した。
いずれにしても、当分の間、横浜と東京での生活と仕事をそのまま続けるつもりなので、私のことを stayjin と呼んでください。