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ジョークの文法

ジョークの文法

カテゴリ : 
くもの笑い (ユーモアに関する考察)
執筆 : 
Tom Gally  投稿日 2009-5-21 21:20
数週間前、アフガニスタンからのニュースが少し話題になって、英語では冗談のネタにもなった。あるブログでは、次の見出しで紹介されていた。
Afghanistan's pig quarantined
この見出しが可笑しいところは、読者が知らない事物を表す単数名詞に所有形を使うとそれは一つしかないというニュアンスになることだ。実際、アフガニスタンでは豚肉などが完全に禁止されているので、豚がいるのはカブール動物園の一匹のみ。その一匹が豚インフルのために隔離されているという意外な事実は、所有形と単数名詞のコンビだけで表されているので、読者が笑ってしまう。

英語の授業などで What did you do last weekend? という質問に対して、I went to Odaiba with my friend. と生徒が答えたら、その生徒に一人の友達しかいないというニュアンスになるから、「日本人がよく間違う英語」としてしばしば取り上げられる。(I went to Odaiba with one of my friends. や I went to Odaiba with a friend of mine. が正しい。) Afghanistan's pig quarantined を読んでびっくりするのも同じ文法的な理由による。Afghanistan's only pig quarantined だったら、事実は依然として意外だが、見出しのユーモアが半減する。Afghanistan's pigs quarantined だったら、まったく笑わない。

同じように、複数形の名詞のみが使われるところを単数形にすると、冗談になる場合がある。
The response to my article was great. A few days later, a letter poured in. (私が書いた記事への反応は凄かった。数日後、一通の手紙が殺到して来た。)
冗談を翻訳しにくい理由には、文化の違いがよく指摘されているが、文法もその理由になることがあるのだ。

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