* ポイント * 挿入節の仕組みの理解
point: (1) 先端 (2) 点 (3) 要点 (4) 問題点 のうち (4)
police officer: =policeman。警官
○ it appears: 全文を読み替えると、It appears that this is a point somewhat above the understanding of the police officer. となる。S V M の形。 この it は that 以下を指すのでなく、状況を示す。「状況は、that 以下の点であるように見える」。さらに敢えて書き直せば、It appears of it that this is a point somewhat above the understanding of the police officer (of= … に関して、it=that 以下)。
cf. It seems certain that he has failed.
「彼は失敗したようだ」
S V C S’ (it=that 以下)
* ポイント * it は for 以下
be convinced > convince: 確信して
nature と they(parents)を wise の点で比較。
* ポイント * would は仮定法
○ this: 主語の this に「こうしたら」の仮定が含意され、would とつながっている。
* ポイント * 動名詞の並列
arrange: … をキチンと並べる
this or that: あれやこれやの
pattern: 基本型
○ arrange: 「段取りする」といった感じ。
例: arrange things in order
ものをキチンと整頓する
確かな事実とされることを集めて、適当な枠組みのなかに収めるのが科学ではないと認識するのは重要である。
* ポイント * would は時制の一致
* ポイント * 主文と名詞句のつなぎ方
had a bad heart > have a bad heart: 心臓が悪い
① the result: 名詞句全体が、副詞的に本文に掛かっている。 , and it was … と読むと分かりやすい。 ② as a child: 文(as he was a child)が省略され句になったと考える。句自体で「子供として」ととってもよい。今は大人なのだから訳は「子供の時」となる。
○ had a bad heart: これは「心臓が悪い」→「心臓疾患がある」の理解しかないが、have bad teeth はどうか。 こちらは、広義で「歯が悪い」(乱杭歯だったり、噛み合わせが悪かったり、いろいろ)、狭義で「虫歯が多い」の意味になる。
* ポイント * 原則を破った形
○ impossible I am told: この辺り復元すると、It is difficult for anyone to recall his boyhood exactly, and I am told that it is impossible for anyone to recall his boyhood exactly. 挿入の原則(挿入後の前後にカンマをつける)に従い impossible のあとにカンマをつけると、difficult と impossible が並列するように読めてしまう。
* ポイント * 共通関係のカンマ
school: (1) (u) 学校教育、授業 (2) (c) 学校の建物 (3) (c) 機関としての学校 (4) (c) 学部 (5) 学派、流派 (6) (c) 鍛錬の場、のうち (6)
例: in the hard school of adversity:
逆境という鍛錬の場において
○ a vast, we may say an infinite, school: vast の後のカンマは、a vast と we may say an infinite を並列するしるし。 school の前のカンマは、a vast と we may say an infinite が共に school につながるのを示す共通関係のカンマ。we may say が破格で an infinite に掛かっている。
子供は両親の手だけに委ねられるわけではない。誕生と同時に、広大な、無辺ともいえる鍛錬の場に投げ込まれるのである。
* ポイント * 独立性を高めるダッシュ
teaching: (1) (u) 教授法 (2) (u) 授業 (3) (c) 教義 のうち (2) で「実際に教えること」
practically: (1) 実際に (2) 事実上 (3) 実際的観点から、のうち (3)。practically all で「ほとんど全て」
authority > authorities: (1) (u) 権威 (2) (c) 権威者 (3) (the)権限 (4) (複数で)当局、のうち (4)
have no idea: 分からない
expense: 消耗
involve: 必然的に伴う
that は、直前のことを指す。this は、直前・直後のことを指す。it は、今文中で問題になっていることを指す。
* ポイント * many の指すもの
choice: (1) (c) 選択、選ぶこと (2) (c) 選択肢、のうち (2)
* ポイント * 文が形容詞に掛かっている
trouble: (1) (u) 悩み (2) (c) 困りごと (3) (c) 弱み (4) (u) 面倒、のうち (2)
writing: (1) (c) 作品 (2) (u) 著作、のうち (2)
from time immemorial: 太古から
pathetic: 哀しい
picture: (1) (u) 絵画;写真;映画 (2) (c) 像;画面;心象 (3) (the) 状況、事態、のうち (3)
cut off: 切り離す
companionship: 仲間づきあい
sociablility: (1) (u) 社会 (2) (c) 具体的な社会 (3) (c) 協会 (4) (u) 社交界 (5) (u) 交際、社交、のうち (5)
* ポイント * 第二文の省略要素の復元
① never: =not at any time この not が、 (1) without と結びつく。not A without B「B なしに A しない」「A すれば必ず B」 (2) either α or βと結びつく。not either α or β=neither α nor β「αでもβでもない」 ② books: 可算名詞の総称用法「本なるもの」。
cf. peace、war
不可算名詞の総称用法「平和なるもの」「戦さなるもの」。
③ many days or months: 形容詞+名詞1+名詞2 では、原則として形容詞は両方の名詞に掛かる。それで意味がおかしければ、直近の名詞1 にのみ掛けて読む。 ④ will: 現在の習慣を示す。文章の前後が全て現在形であることと、文脈から判断。 ⑤ without my using them: この without は主文の付帯状況「… しないで、しないまま」。 my using them=I use books. 分かりにくい名詞句は文に読み下してみる。 ⑥ Very soon, I say to myself, or tomorrow or when I feel like it.: 文に復元するとよく分かる。 I say to myself that I will read the books very soon, or tomorrow or when I feel like it. say to oneself は「心の中で言ってみる」。 ⑦ runs by and is gone: 同義語反復。リズムを出すために、似た意味の言葉を重ねている。 has gone としたら時制が異なり、並列にならない(「時は過ぎるものであり、行ってしまった」?)。is gone の gone は形容詞、時制は runs と is で現在形と考える。 ⑧ … , and: 逆接のアンド「なのに」。 ⑨ I am none the worse:
文を完全復元してみる。
none は副詞「少しも … ない」
the は指示副詞「その分だけ」。どの分かというと、for 以下の分。
worse は using them(本を読む場合)に比べて、(自分に関わる事態が)悪くなる。
for は理由を示す「… というわけで」。
直訳「私は本を読まないということで、読まない分だけ読む場合に比べて、状況が悪くなるということが全然ありません」→「それでもちっとも困りません」。 ⑩ for: 判断の根拠を述べる接続詞「何でそんなことを云うかというと …」といった感じ。because や since のような因果関係はない。そのため「というには … だからだ」の訳では前後がつながらないことが多い。for を訳さなかったり、意識の流れる適切な訳を心掛ける。 ⑪ ease and comfort: 同義語反復。 ⑫ the thought that they … : that は同格名詞節を導く接続詞「… という」。 ⑬ they are beside me, to give … : カンマは付加的に続けるしるし。カンマの前で意味は完結しているが、さらに情報を付け加える。前から訳し下ろすとよい「本がそばにあって、… を与えてくれる」
平時でも戦時でも、旅にはいつも本を持ってゆく。そのくせ何日も何か月も読まずに過ぎる。今すぐ、いや明日、いやその気になったら、と心に言い聞かせる。かくして日は去り月はゆくが、何がどうなるわけでない。分かっていただけるだろうか。本がいつもそばにあって、読もうと決めればいつでも満ち足りた気分になれると思うだけで、私の心は大いに安らぐのだ。
○ when I choose: choose to read them の省略形「読もうと決める」と考える。 自動詞「望む」はつながる言葉 they are「本が存在する」が遠すぎてよくない。 他動詞「選ぶ」は目的語に one of the books などの形が考えられるが、この文章に存在しないので不可(英語は日本語と違って、省略要素を勝手に持って来れない)。choose to read と、動名詞 using them が不定詞 to read them に変わったものとここでは取るが、本当は良くない。品詞が異なるからである。だが、ほかに選択肢はなく、消去法でこれを選ばざるをえない。実はこれ、モンテーニュの随想録の一部。フランス語の choisir(=choose)には目的語を内包する自動詞の用法がある。しかも原語では、最後がピリオドで終わっておらず、カンマで文が続いている。だからこうした苦肉の解釈をするしかないのである。
長らくご愛読ありがとうございました。 手を抜いたわけではありませんが、まだ咀嚼不足なところがあると自分で感じています。
これらをしっかり整理・解決した上で、単行本にできればと思っています。 版元も前向きに考えているようなので、しばらくお待ちください。 私は50年前に予備校で伊藤先生に教わり、英文読解の眼を開かれました。
どんな名著でも瑕疵はあります。盲目的に信奉するのでなく、慈しみをもって批判的に読み解くのが、著者に対する礼儀だと考えます。この意図のもとに「英文解釈教室・新装版ノート」を書きました。英語上級者の皆さまの読解力向上にいささか役立つならうれしく思います。 柴田耕太郎
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