過去の連載

私の語学スタイル

第 2 回
「ネイティブではない先生ができること」

002

Style3
英語が好きになった理由は

 具体的に、英語はいつごろ身につけたか聞いてみると、きっかけはセルビア人の英語の先生との衝撃的な出会いだそうだ。
 「10 歳のとき英語のクラスが始まるまでは、英語は知らなかった。すごくインパクトの強い先生がいたの。今でも名前を覚えているスヴェトラナ先生。自分というものをしっかりもった先生で、外人のまねをしようとしてなくて、真っ黒な髪の毛ですごく美人だったの。で、その先生が英語の歌を歌ってくれたの、全然変わった歌じゃないんだけど、one little, two little… っていう。でも、声がすごく美しくて、あーこれはやりたい!英語!って思って。それから、英語がめちゃくちゃ好きになった」
 当時ユーゴスラビアでは、国策もあってなかなか英語番組や英語圏の映画などの情報が入ってこなかった。しかし 10 才のネーナ先生はめげることなく、週 1 回放送される『セサミストリート』で、テレビにかじりついて英語の勉強をしていたという。
 「英語でこれを言えたら、文通相手に私の気持ちを伝えられるなって思って勉強していました。文通、19 カ国の人としていたんですよ、私。このときの気持ちを今説明するとしたら、表現の場が広がる、というか表現の媒介 (medium) が広がるなっていうことかな。言葉は使えば使うほど、自分の表現のレパートリーを増やせるもの。だから、結果的に自己表現できる、コミュニケーションできるというものなんです」

Style4
私は小学校1年生から英語をやるべきだと思う

 児童英語教育はネーナ先生の専門でもあり、教育者の養成にも長年携わってきた。現代の日本における児童英語教育についてどう思っているのか。
 「私は今、J-SHINEのトレーナー検定員なんですよ。小学校英語教育、何のために必要かってみんな議論してるでしょ。私は1年生からやるべきだと思う。私に言わせれば、This is a table. とか、These are glasses. とか、どうでもいいの。見れば分かること聞くなよー!って。何も発見してないじゃないですか、英語でただ言っているだけで、何も新しく分かったことがない。子どもに教えるなら、何か新しい知識と自信を与えるようなことをしないと。やっぱり重要なのは、英語教育を通して寛容さを育てること、ダイバーシティ(多様性)って最近よく言うけど。いろんなもの、いろんな考え方、価値観があるよって伝えて、寛容さの土台ををつくるのが小学生の時代だと思うから」

 *J-SHINE 小学校英語指導者認定協議会のこと。日本における「小学校での英語教育の普及・発展を支援する」という趣旨のもと、2003 年に民間主導で設立された団体で英語教育指導者の資格認定を行う NPO。HP:http://www.j-shine.org/

  • 前へ
  • 1
  • 2
  • 3
  • 4
  • 次へ
 

▲ページトップに戻る