大正5年(1916年)11月15日号の『英語青年』で、もし新しい雑誌の名前を English または Practical English にしたら、その前に The を付けるべきかどうかという問題が上條辰蔵の論文で取り上げられた。その論文の最後に、次のような情報が紹介されていた。
ボストン 野間真綱
〔ボストンに在る七高教授野間真綱氏より次の如き端書が来た。―S. K.〕
拝啓
English 及び Practical English を雑誌名とする時に the を附する可否の件、諸教授避暑中にて大変遅れ申し候当地諸大学教授は the を附せざる事を可とする方に全然一致し候。其理由として永々しき事を聞かされ候も理窟は却つて日本人の方が明かなれば略し候敬具。 九月十六日
1898年創刊の『英語青年』には、日本での英文学や英語学の変遷がうかがえる。ここでは「青年の蔵」の名称で、大学図書館の地下2階集密書架で保存されている『英語青年』の中から、私の目に入った記事を拾ってみる。漢字は新字体に、仮名や句読点は原文どおりにする。