タイで働くようになって、日本の社会や教育に対する考え方が変わったかどうかを伺うと、自分自身に考え方に余裕が出てきた、と自分の考え方の変化について、話してくれた。
「日本の社会ってすごく失敗を責めると思うんです。失敗したことをすごいこう、あとあとになってもずっとひっぱっていくなって思うんです。失敗した人間もそうだし、まわりも失敗した人を冷たい目で見たりする。これはある意味、文化だからしょうがないのかもしれないですけど。それをすごく感じてて。私もそうなんですよ。もう『失敗しないように』とか、『失敗はしたくない』っていう気持ちって絶対あると思うんです。でもタイは違うんですよね。失敗は絶対にあるんだから、失敗しても気にしない、マイペンライ※なんですよ。で、本当に気にしてないんですよね。だからこそ堂々とまた新たな挑戦ができる。そういうところがすごいなって思って、それは見習いたいなって思うようになりました。まあ、『もっと反省しろよ』って思うときもあるんですけどね」
「ずっと、自分に自信がないから、自分に否定的になったりする場面が多かったんですけど、『そうじゃないよな、自分ができることをやればいいんだもんな』と思えるようになりました。妙に神経質だった部分が柔らかくなってきたような感じ。生きていくのって厳しいんだけど、こう柔らかいところは絶対持ってなきゃいけない、それがやっとわかった気がしています。それは、もしまた日本の生徒を教えることになったら絶対生かせるなと思っています」
園山さんと話すと、その話し方で先生だと分かる人も多いのではないかと思う。とても分かりやすくて、人に伝えようという気持ちが感じられて、どんどん次の話が聞きたくなる。タイの田舎の村に一人で飛び込んでいくことには、様々な困難があると思う。そのすべてのことに対して真摯に取り組み、迷いがあれば悩み、自分なりに答えを出して進んでいる姿がとても爽やかだ。外国語を駆使し、異文化をしなやかに生きていく姿を見せることは、タイや日本の子どもたちに、勇気を与える素晴らしい教育の一つだと感じた。(Y)
※マイペンライ タイ語で「大丈夫、気にしない」という意味。
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