Web英語青年

Web英語青年ブログ

  • 最新配信
  • RSS

最新エントリー

-holic と -licious

カテゴリ : 
ことばの網 (英語と日本語の新語珍語の紹介)
執筆 : 
Tom Gally  投稿日 2009-7-21 18:20
新しい言葉を造るための語尾には、-rati-ista のほか、-holic や -licious がある。

-holic は alcoholic (アルコール依存症の人)から切り取られた。その alcoholic は元々 alcohol + -ic から出来ているので、 -holic は語幹の一部と語尾から造られた奇妙な語尾だと言える。いずれにしても、『ルミナス英和辞典』には次のようなよく知られた見出し語がある。
chocoholic チョコレート中毒者, 大変なチョコレート好き.
shopaholic 《略式》 [滑稽] 買い物中毒《人》
workaholic 《略式》 [普通は軽蔑] 仕事中毒の人, 仕事の虫.
(私が以前ここで紹介した The Onion は2000年に "I'm Like A Chocoholic, But For Booze" という記事を載せている。-holic の語源が alcoholic ではなくその後に造語した chocoholic であるかのように書いていて、そして alcoholic という言葉が存在しないふりをして booze-oholic を無理に造っているから、究極的な言葉のユーモアとも言える。)

その他に、chargeaholic、icecreamaholic、mariholic、negaholic、netaholic、sexaholicなどが KOD に載っている。

-licious は delicious に由来する語尾であるが、どうも  lubricious(みだらな, 挑発的な)の影響も受けているようだ。KODには次の言葉が載っている。
babelicious  《米》《俗》 〈若い女性が〉とてもセクシーな, おいしそうな.
bootylicious 《俗》 《特に女のヒップが》セクシー[豊満]な, 色っぽい, ナイスバディ[ムチムチ]の《booty と delicious の合成語; 特に米国の黒人女性ボーカルグループ Destiny's Child のヒット曲 ‘Bootylicious' (ブーティリシャス, 2001) で広まった》.
niggalicious 《米》《黒人俗》 《黒人女性が》体格の良い, いい体をした, ナイスバディの.
私は babelicious を何回も見たことがあるが、 bootylicious と niggalicious は初耳。ウェブで検索してみたら、boobilicious、hotilicious、hunkalicious、pornolicious、sexiliciousなど、同系の言葉を多数見つけた。

もう一つの上品ではない語尾は -tard であるが、それについては後日語ることにする。

fashionistas とその友人

カテゴリ : 
ことばの網 (英語と日本語の新語珍語の紹介)
執筆 : 
Tom Gally  投稿日 2009-7-13 18:30
また語尾の話。-ista は、スペイン語で英語の -ist(「…を奉ずる人」「…主義者」など)に当たる。そのため、英語では従来、スペイン語圏政治家の支持者を指してきた。次の言葉は KOD に載っている。
Fidelista カストロ主義者.
Peronista ペロン主義者, ペロニスタ.
Sandinista サンディニスタ《1979 年ニカラグアのソモサ (Somoza) 政権を倒した民族解放戦線 (the Sandinista National Liberation Front) のメンバー》.

そして、米国などの政治家の支持者の意味でも使うようになった。例えば、
Clintonista (2007年の用例: "The Clintonistas and some of their chums in the elite media want you to think that Hillary Clinton actually got the better of Barack Obama in their recent scrape over the comments by movie/music mogul and Obama supporter David Geffen.")
Obamista (2009年の用例: "One wonders if the Obamistas have already purged themselves from the Terrorist Watch List")

もっともポピュラーな -ista 語は fashionista である。これは KOD で「最新のファッションのデザイナー[仕掛け人]; 最新ファッションを追いかける人.」として定義されている。初出典は、 Stephen Fried の Thing of Beauty: The Tragedy of Supermodel Gia (1993) のようだ。
It was a whole new world for the fashionistas: the army of models, photographers, designers, hair and makeup people, stylists and editors who toiled daily in the beauty trenches. (p. 100)
その他に、様々な流行を追う人を指す stylista や foodista も造語されているが、昨今の景気を表す frugalista や recessionista (不況の中で節約しようとしている fashionista)は特に面白い。

読者から貴重なコメントをいただいた。
素朴な疑問」に対する私の考えですが、英語教育の学者というのが関係しているかは定かではありませんが、日本の大学教授という立場の人の中には、やはり、「自分が日本の何々を背負っているのだ。」という(今回の場合は「英語教育」)あまり適切でない方向に向けられた自尊心や、うぬぼれというのが絶対あると思います。

または、どんなにレベルの高い教育者であっても、異常なほどの嫉妬心を持つ人というのはかなりいるのではないでしょうか。高い教育レベル=高い人格というのは当てはまらないと思います。

私の経験からすれば、どの職場でも、人はいろいろなことに嫉妬を持つと思います。以前は私も何でだろうと葛藤がありましたが、それは全く驚くようなことではなく、世の中でのあたりまえの出来事だと最近はとくに思います。
確かに、英語教育がこれほど注目されている国では、英語教育者が国の行方について過剰なほど責任感を持つことは不思議ではない。それと、人間固有の嫉妬心を考えると、私が目撃した険悪な感情はかえってごく自然かもしれない。それでも、英語教育界にはなんらかの特別な事情があるのではないかとも思えてならない。引き続き読者の皆様のお知恵を乞う。

7月号のくも本

カテゴリ : 
くも本 (面白い絶版書の紹介)
執筆 : 
Tom Gally  投稿日 2009-7-3 17:20
月が変わり、『Web 英語青年』の最新号が出た。今回のくも本探求は、福原俊平氏の「トマス・ハーディの地層的小説空間」からヒントを得る。

まず、A Pair of Blue Eyes に出てくる Castle Boterel は、1895年版のエッチングで描かれている。



次に、英国に残るローマ帝国の道の「多層性」は Our Roman Highways (1904年) に詳しく説明されている。



ハーディの作品はもちろん、 Internet ArchiveProject Gutenberg などで読める。無料なので、どうぞ満喫してください。



上から読む(その続き)

カテゴリ : 
くもの舌 (言葉について気が付いたこと、考えたこと)
執筆 : 
Tom Gally  投稿日 2009-7-1 16:30
先日、次の詩を書いた。行頭の文字に注目してください。
Knives that slice a spider's thread
Or hack a corner from a cloud
Take away the air instead
Or no more than an insect shroud.

Better to use tongues to bash
Against the walls of strand and haze;
None evades the mighty slash
Of deftly wielded turns of phrase.

Knowledge hides until it's caught,
Until our language makes it show.
Mighty blades are void of thought;
Our words must tell us what we know.


▲ページトップに戻る